読書

DIVE!! / 森絵都

DIVE!!/森絵都
「飛び込み」という競技を通して成長していく少年たちの姿を描いた小説
森絵都さんの優しいまなざしが感じられる作品
100万部の大ベストセラー、ということなので今更ですが…
単行本では4巻 ですが、長さを感じさせず一気に読めてしまいます
私は、娘が中学校の図書室から借りて来てくれたもので読んだので、この4分冊のものでした
それぞれの巻につけられたサブタイトル、どういう意味を持つかは、読んでのお楽しみ
DIVE!!〈1〉前宙返り3回半抱え型
DIVE!!〈2〉スワンダイブ
DIVE!!〈3〉SSスペシャル’99
DIVE!!〈4〉コンクリート・ドラゴン
文庫本では、上下2巻
DIVE!!〈上〉 (角川文庫) DIVE!!〈下〉 (角川文庫)
DIVE!!〈上〉 (角川文庫) DIVE!!〈下〉 (角川文庫)
第1巻で主人公 知季が語るこの言葉

「……確かに、おれたちの飛込みは沖津くんの飛込みと比べて、いろいろ不自由かもしれない。なんせ採点競技だからジャッジがいないと何もはじまらないし、何も終わらない。いつも得点を気にしてるし、減点をびびってる」
 でも、と知季は力をこめて飛沫をみあげた。
「でも、それって飛込みだけじゃなくて、なんでもそうなんだよ。沖津くんは広いところで自由に生きてきたかもしれないけれど、おれたちの生活って、いつもなんか採点されたり、減点されたりの繰り返しなんだ。いろんなところにジャッジがいてさ、こうすればいい人生が送れる、みたいな模範演技があって、うまく言えないけれどおれ、そういうのを飛込みで越えたくて……。試合で勝つとか、満点もらうとか、そんなんじゃないんだよ。もっと自分だけの、最高の、突きぬけた瞬間がいつかくる。そういうの信じて飛んでるんだ」
DIVE!! 1-前宙返り3回半抱え型 講談社 2001年3月2日 第4刷 175〜176p

他人からの評価を得るためだけではい、「突き抜けた瞬間」を求めていく、これは、ダイビングであろうが、吹奏楽であろうが、共通のもの
子どもも大人も楽しめる作品なので、冬休みなどにぜひ!
映画化もされています

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限られた時間ではどうしても精神的な葛藤をうまく表現できておらず、物足りないところは感じられます。
この素材、もう少しうまく描けたのではないか、とも思います。
映画だけしか観ていないのであれば、絶対に原作は読むべき。
映画だけで、このDIVE!!という作品を終わらせて欲しくはないと思います。
逆に、映画によって理解が助けられる部分も多いにあります。
実際の練習、トレーニングの風景、技の数々など、実際に映像で見ると、なるほどと理解できます。
さて、映画ではもう一つ楽しみが。
実は、主人公たちが普段練習をしている、飛び込み台のあるプール。
その舞台は、「金沢市営総合プール」(金沢市富樫)です。
息子の通う高校のすぐ近く、私の仕事先の専門学校もすぐ近くで、しょっちゅう通ります。
プールの他、走り込みをしたりする場面でその近辺の風景がふんだんにでてきます。
金沢でロケをしていることは知っていたのですが、まさかこんな近くとは思ってもいませんでした。
いま、車で前を通るときに正面の建物の切れ目からわずかに見える飛び込み台の頂上を目にしては、この小説のことを思い返しています。

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