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携帯電話を持つことのメリットは家族と連絡がとれることだけなのか?

わが家の末っ子ももう中学2年生。
去る11月12日には中学校で立志式に臨みました。
立志式、最近では学校行事として行われるところが多いようです。
武士社会の成人式である元服にならい、15歳前後、中3だと受験もあるので中学2年生時に行うようです。
子どもたちに大人になった自覚をもち、志を立ててこれからの人生を考えなさいよ、といった意味合いがあるのでしょう。
こういった機会をつくること自体は悪いことではないと思います。
さて、その立志式での資料を見せてもらい、考えることがあったので、記しておきます。
我が野々市町では小中学生に携帯電話を持たせない「プロジェクトK」という取り組みを行っています。
その効果もあり、おそらく中学生の携帯所持率は全国的にみてもかなり低いと思われます。
しかし、それはこの野々市町という地域特性が大きな要因であることも確かです。
実際、わが家も子どもたちが中学生の間は誰一人携帯電話を持ちませんでした。
こうした携帯電話を子どもに持たせないという取り組み、子どもたちを守りたい、危険な目に合わせたくない、という親心からの施策であることは疑うまでもありません。
敬意を持ってその活動を持ってみています。
そこに暮す住民自らが安心して暮せる地域を作るということは非常に大切なこと。
しかし、少々危惧を感じるのは、規制をすればよい、持たせなければ良い、という側面に意識が行き過ぎてしまうことです。
件の立志式では教育委員会の方が「これからの情報社会を生きる」と題した記念講演を行われたそうで、娘が持ち帰ってきたPowerPointのプレゼンテーション資料を拝見しました。
その資料では、「携帯電話を考える」としてメリットとデメリットがあげられているのですが、メリットとして「家族との連絡」1項目があげられているのに対し、デメリットとして「4段階のデメリット」、「第1段階 生活習慣の破壊」「第2段階 料金のための非行」「第3段階 犯罪組織からの攻撃を受ける」「第4段階 犯罪に積極的にアクセスしてしまう段階」とデメリットのオンパレードです。
とにかく危険だから、あなた達はまだ判断力がないから、持つな、といいたいように思えてしまいます。
これではあまりにも説得力がないのではないでしょうか。
携帯を持つことのメリットがそれだけだったのなら、何故これほどまでに携帯電話が普及したのか?
また、「携帯電話は電話機じゃない 電話機ではなくモバイル・インターネット端末です」とも。これは自家撞着。
電話機です、電話としての機能を果たすのだから。なおかつ、モバイル・インターネット端末です。だからこそ便利に使えて普及しているのでは?
こんな便利なものがある世の中に、それなしで生活することのデメリットも多くあるはずです。
携帯電話を持たせないことに対する情熱と費用を、それ以上に、子どもたちの情報リテラシー、メディアリテラシーの向上に振り向けることが、子どもたちの未来にとって、私たちの社会にとって必要なのでは?
もちろん、大人たち自らがリテラシーの向上に務めることが重要なことは言うまでもありません。
学校だけにまかせておくことだけでもありません。
数年前から専門学校の学生達の授業を受け持っていますが、総じて、高校卒業したての彼ら、ニコ動やYouTubeで面白い動画を見つてきて見ることなどには長じていますが、ネットワークの知識、セキュリティに対する意識、アプリケーションの操作スキルなど、基本的なリテラシーが身に付いていないのが実情。
高校では情報の授業が行われているはずですし、吸収力も旺盛な年代のはずなのですが、非常に残念に思います。
ちょうど今、朝日新聞で連載中の「いま子どもたちは」でこんなエピソードがありました。
13歳の中学生の女の子によると、「ブログやってるイコール危険な人」と見られるそう。
取材した記者によると、その彼女のブログは「ごく普通の中学生の生活が書かれている。むしろそれだけ。」
だが、先生もネットに反対、ネットのトラブルに付いて帰りの会で何度も聞かされ、保健体育などの授業中に言われることもある。
その結果、単にブログを書いているだけで、友だちから「あんたもネットで出会った知らない人と遊んでんの?」って思われる、のだそうです。
インターネットについて、そんな歪んだ見方を植え付けてしまうような教育が行われているとしたら、これはやはり、大人たちの大きな過失。
未来を失うことになると思います。
大人たちは、携帯電話を入り口とするネットワークをはじめ、それこそ「これからの情報社会」について、自らのスキルや意識を改めて問い直し、子どもたちと一緒に考え成長していく必要があるのでは、と思います。
もう一つ、情報リテラシー教育において、学校教育の間は機会均等原則とし、デジタルデバイドを生じさせないような仕組みが必要だ、ということも最近改めて感じているのですが、それはまた次の機会に。
参考リンク
* 野々市町 プロジェクトK について
小寺信良「携帯の力学」:携帯を持たせないという選択-ITmedia + D モバイル|2010/5/8
 プロジェクトKについてメディアライター小寺信良氏が現地を取材し考察した記事
 なぜ、プロジェクトkが成功しているのかその背景についても参考になります
「ケータイ持たせない」運動の実態-もっとグッドタイムズ(安心ネットづくり促進協議会)
 子どもに携帯を持たせない運動について考えるのに参考になります
 野々市町長へのインタビューなど、プロジェクトKの取り組みについても情報が充実しています
「ののいちっ子を育てる」町民会議
 プロジェクトKの推進母体
小中学生に「携帯電話を持たせない」|のっティ新聞 vol.12
 プロジェクトKの取り組みについての記事です

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