レビュー:山際淳司「スローカーブを、もう一球」

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こんにちは。
@pooh_1960です。

2012年7月22日石川県立野球場 金沢泉丘高校vs輪島高校

金沢泉丘高校vs輪島高校 2012/7/22 石川県立野球場


今年、2012年夏。

子どもたちの母校、金沢泉丘高校野球部は初戦、シード校日本航空石川を破り、2戦目 羽咋高校にも勝利!
7月22日(日) ベスト8をかけてシード校輪島高校と熱戦を繰り広げるも1-2、1点差で惜しくも敗退。でもその活躍は大きな感動をもたらしてくれました。ありがとう。

そこで、喜んでいたら、なんとわが母校、新潟県立糸魚川高校はなんと28年ぶりとなるベスト4進出!
本日24日(火)、名門 私立中越高校と対戦し1-3で惜敗。しかし、本当に快挙。ありがとう。

高校生球児たちに元気をもらい暑さに立ち向かう夏。
往年の名著を再読しました。

山際淳司「スローカーブを、もう一球」

先日、図書館へ行ったら新刊コーナーに文庫が入っていたので思わず手に取ってきた。
ちょうど、夏の高校野球が真っ盛りの今をめがけて新版がだされたのであろう。
おかげで、すっかりと忘れていた、若かりし頃の感情や記憶を喚起させられセンチメントな気分、でもちょっと若返ったような気もする。

いわずとしれたスポーツ・ノンフィクションの名著。作者、山際淳司さんの夭折が惜しまれる。
この本には1980〜81年にかけて、雑誌ナンバーや野性時代などに掲載された作品8編が掲載されている。

なかでもNumber創刊号に掲載された「江夏の21球」は当時、大変話題となり、山際淳司の名を確固たるものにした作品。

1980年といえば、ちょうど私が二十歳の時。いつ、どこで、読んだのかは忘れたが「江夏の21球」が頭の中に残り、「スローカーブをもう一球」もその中で使われたことば、あるいはそれが表題で、「江夏の21球」が副題かと勘違いしていた。

山際淳司さんの文章、当時まだ30代になったばかり、いささか感傷的、若さも感じられるが、文学的な名文。アスリートたちの思いを極上の読み物に仕上げてくれている。

たとえば、一人乗りボート日本代表 津田真男を描いた「たった一人のオリンピック」の書き出し

 使い古しの、すっかり薄く丸くなってしまった石鹸をみて、ちょっと待ってくれという気分になってみたりすることが、多分、だれにでもあるはずだ。日々、こすられ削られていくうちに、新しくフレッシュであった時の姿はみるみる失われていく。まるで−−と、そこで思ってもいい。これじゃまるで自分のようではないかと。

「たった一人のオリンピック」68p

なんていう比喩だろう、でも、私にはその気分がストンと自分の中に落ちてくる。

「八月のカクテル光線」は、私たちの世代には忘れることのできない。甲子園の名勝負、金沢・星稜高校と和歌山・名将尾藤監督率いる箕島高校との延長18回の激闘を描いた作品。

選手、監督、そして審判の言葉から、あの試合をあやを一つずつ解きほぐすかのようにして再現していく。
なにげなく見ている勝負の内側では、一人ひとりの複雑であったり、偶直であったり、さまざまな思いが、感情のせめぎあいが、内なる言葉があることに気付かせてくれる。

球審 永野元玄が、延長18回の場面を回想してのシーン

 私のベルトのところには、ボールを入れる袋が下がっていまして、そこにはいつも四個のボールを入れているんです。ニュー・ボールもあれば、一度使ったボールもある。ここぞという局面で、ボールを交換するときは、私は使い古したボールを渡すようにしている。新しいボールはすべるからです。私がしてあげられることはそれくらいですからね。

「八月のカクテル光線」34p

この一文を読んでいるだけで、実際の試合を見る目が変わってくる。

この本に描かれたアスリートたちの内なる思いを読むことによって、スポーツを見る目が、否、人間を、人生を見る目が深くなるものと思う。

スポーツ好き、高校野球に釘付けになっている方にはもちろん、スポーツに縁のない方にもおすすめの一冊。

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