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レビュー : 池澤夏樹「キップをなくして」

こんにちは。
恵比寿のビール工場のすぐ近くに住んでいたことのある@pooh_1960です。

恵比寿駅東口をでて線路沿いに坂を登り、左に曲がってビール工場の前を通り過ぎ、右に曲がってすぐ近くにあるアパートに住んでいました。
代々木ゼミナールに通っていましたので、毎日山手線に乗って代々木まで往復。
アパートは大家さんの敷地内に建てられた2階建て4畳半4室。
1階と2階に2部屋ずつ。
2階、階段を上って右の部屋が私。向いの部屋には美容師の若いお姉さん。
私の部屋の下には北里大学登山部のお兄さん。
一度、お誘いを受けて酒盛りに参加させて頂きましたが、その部屋のあまりの乱雑ぶりに目を丸くしたりしました。
思えば楽しい浪人生活でした。

池澤夏樹「キップをなくして」

池澤夏樹さんの小説を読むのは「カデナ」につぎこれが2冊目。

これまで、池澤さんの書いたものと言えば、現在、朝日新聞に連載中の「終わりと始まり」のような時事評、コラムなどを愛読。今の時代の矛盾を指摘するその眼差しに敬服していました。

何を読もうかと考えて、ふと手にして読み始めると…

 ある初夏の朝、一人の少年が恵比寿駅から電車に乗った。
 ホームは空っぽだった。日曜日の午前中だから人が少ない。

恵比寿という文字に反応してしまいました。

池澤さんのかかれるものは密度の濃い重いものというイメージだったけれど、これは子どももよめる、ステキなファンタジー。

「キップをなくしちゃダメよ。キップをなくすと駅から出られなくなるから」

と、いう親のひと言。
大人にとっては子どもたちに注意を促すために発する方便、嘘。
でも、子どもたちにとっては、それは真実。

恵比寿駅から電車にのり有楽町で降りた少年イタルがキップをなくしたところから物語は動き始め、異空間の旅へと読むものを誘う。

キップをなくした子どもたちが共同生活をし、仕事をし、大切な仲間を見送り、人間の生と死について考え成長して行く一夏の物語り。

ファンタジーといっても、ハリーポッターのような大掛かりな物語りではないけれど、愛おしく優しいお話し。

この御話しにでてくる「駅長さん」って、ちょっとダンブルドアを思い浮かべました。

小学校高学年くらいから無理なく読めると思います。
親子で読むのもいいですね。

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