2007年本屋大賞にノミネートされていて、結構評価もよかったので、楽しみにしていた作品。
ちなみに、この年の大賞は「一瞬の風になれ」（佐藤多佳子）
今回、文庫化されていたことと、またもや楽天ポイントがたまったこともあって、新潮社の本にもかかわらず、購入しました。
高校や中学の部活が描かれている作品は結構あります。
「一瞬の風になれ」や、「DIVE!!」(森絵都）（これは厳密には部活ではないけど）も、青春部活もの、といってもいいと思います。
しかし、高校の吹奏楽部が舞台、その当時を主人公が回顧するこの「ブラバン」は、上記2作品のような、さわやかな青春ストーリーとはいえず、もう少し、大人のノスタルジー小説といった趣です。
だから、現役の若い吹奏楽な皆さんや、読んでも、面白みに欠けるかもしれません。
運動部と文化部の違い、実に内省的で、でも、悪くない世界です。
作者の津原さんは1964年。実際に高校時代吹奏楽部に所属。
私の方がほんの少しだけ年長ですが、今となってはほぼ同世代。
同じ時代の空気を、またビリー・ジョエルのオネスティを始め懐かしい楽曲登場し、昔を思い出しました。
合奏には魔力がある。幾田の部屋で僕を素朴な喜びに導くもの、三十人のバンドをこの上なく落ち込ませたもの、その正体はどちらも合奏という儀式だ。自分との戦いである独奏からこれほどの高揚や失望は生まれえない。ひょっとすると友情よりも素晴らしく、ひょっとすると恋愛よりも過酷なのが、鳥のように音を奏で合うというこの人類特大の発明だ。
ブラバン／津原泰水 新潮文庫
ほんと、合奏には魔力があります。
合奏したい！
未読の方は、ぜひご一読を。
・楽天ブックス｜ブラバン
