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『酔うために飲むのではないからマッコリはゆっくり味わう 』谷川俊太郎・申庚林・吉川凪

読書

こんにちは。
@pooh_1960です。

久々にスリリングな詩の本を読みました。

谷川俊太郎さんと韓国の詩人 シン・ギョンニムさん、そして訳者 吉川凪さんによる対詩と対話の本です。

谷川俊太郎さんは若い頃から親しんだ詩人
今回の本にも収録されている有名な「二十億光年の孤独」

万有引力とは
ひき合う孤独の力である

こんな言葉に痺れないわけがありません

その谷川さんの名に目がとまりふと手にとったのでした

酔うために飲むのではないからマッコリはゆっくり味わう (日韓同時代人の対話シリーズ01)

谷川さんの幼い頃を回顧するエッセイの中に、冨山房の百科事典の話しがあります。
それで思い出したのですが、谷川さんの詩に親しんだ頃、御茶ノ水・文化学院の学生だったころよく行った神保町の冨山房書店のことを思い出しました。
その当時は冨山房が出版社であるということは知らず、もっぱら書店として親しんでいました。
美術史?だったかのレポートに追われ、冨山房でピカソのゲルニカに関する本を見つけ地下の喫茶店でレポートを仕上げた思い出があります。
と、いったことをつらつらと思いだし、冨山房をググったらもう書店は閉店しているとのことでちょっと寂しくなりました。

まあ、そんなセンチメンタルな気分も味わいつつ、ちょっと興奮しながら読了しました。

谷川さんと韓国の詩人 シン・ギョンニム(申庚林)さんとの「対詩」(二人での連詩)、それぞれの詩、エッセイ、そして二人の対談で構成されている。
対詩は全部で24編、なので12編ずつ。翻訳者を挟んでメールでやりとりをしながら作られたとのこと。短い詩編だが、緊張感のある言葉の紡ぎ合いに心打たれる。途中、セウォル号の事件があり、その緊張度がさらに高まった感がある。
国家対国家という側面からは両国の乖離が激しく感じられるが、過去の歴史も踏まえつつ、個人と個人としての対話により、より良い関係が築けるはず、と柔らかい心になれる。
シン・ギョニムさんのエッセイにはシンさんの戦中の体験が書かれているが、いまの韓日の関係を思うとき、そういった歴史・事実すら知らない日本人が多いのではないか、と感じられる。
二人の詩人の作品を楽しみながら、過去を知り未来を考えていくことができるよい書物だと思う。
心の柔らかい若者たちに多く読んでもらいたい。

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