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【R+】レビュー:「挑む力 世界一を獲った富士通の流儀」片瀬 京子, 田島 篤 共著

こんにちは。
@pooh_1960です。

R+(レビュープラス)さんからの献本枠でのレビューです。

片瀬 京子。田島 篤|共著
野中郁次郎|解説
【第1章】 絶対にNo.1を目指す ( スーパーコンピューター「京」)
【第2章】 覚悟を決めて立ち向かう (株式売買システム「アローヘッド」)
【第3章】 妄想を構想に変える (すばる望遠鏡/アルマ望遠鏡)
【第4章】 誰よりも速く (復興支援)
【第5章】 人を幸せにするものをつくる (「らくらくホン」シリーズ)
【第6章】 泥にまみれる (農業クラウド)
【第7章】 仲間の強みを活かす (次世代電子カルテ)
【第8章】 世界を変える志を持つ (ブラジル/手のひら静脈認証)

企業が掲げる理念。
創業者の熱い思いからうまれた理念は時の経過や規模の拡大によって薄れ形骸化してしまう。
私もこれまでの経験からそんな例を体験して、非常に残念な感慨を抱いたこともあります。
ある意味それは仕方のないことだと思うが、その理念に共感し、自分の理念とし、真剣に仕事に取り組んでいる社員がいる会社は、本当に強い、と思う。

この「挑む力」を読んでみて、その思いを強くしました。

本書では、富士通が手がけ、世界一の計算速度の栄冠を得たスーパーコンピュータ「京」をはじめ、世界一や世界初、あるいはその業界で素晴らしい成果を収めている8つのプロジェクトを、そのプロジェクトリーダーにスポットを当てて、どうのように成果を挙げえたのかが書かれています。

実は、レビュアーに応募した際は、世界一を得た「京」の開発成功物語り的なものだろうと思っていました(運用の開始や世界一を奪われた、というこのタイミングであったので…)。
仕事がら、もちろんコンピュータには興味があり楽しみにしていたので、最初の「京」について書かれた第1章を読んで、もっと深く、詳しく書いて欲しかった、と残念に思ったものです。

しかし、その後、第2章「アローヘッド」から第8章「ブラジル/手のひら静脈認証」まで、8つの章を通して読んでみて、著者たちが意図したことが理解できました。

すなわち、プロジェクトを「具体的かつ実践的に、成し遂げるためのポイントを導き出す」こと。
また、取材対象として富士通を選んだ理由の一つとしてあげられていた「特定の企業に絞ることで、組織的な要因を探りたかった」といこと。

本書では富士通の行動指針「三現主義」や、受け継がれてきた言葉、「ともかくやってみろ」「挑戦者に無理という言葉はない」「夢をかたちに」が繰り返し登場。
本書に登場するプロジェクトリーダーたちは、それらの言葉を、たんなる言葉とせず、自ら取り込んで、自らの行動指針として、仕事に取り組んでいると、感じました。

また、京、アローヘッド、すばる望遠鏡、といった技術の粋、ある意味夢の世界に近い領域はもちろん、復興支援、らくらくホン、農業クラウド、といった、直接生活者、生産者に関わる、ある意味泥臭いプロジェクトでのプロジェクトリーダーたちの奮闘に、思わず引き込まれ、感動しました。

会社は、規模や知名度で善し悪しが決まるわけではない。
その掲げる理念がいかに具現化されているか、働いている人たちが、共感し、ともに歩いていることが大事なのだと思います。

そういった意味で、ここで描かれたプロジェクトリーダーたちの姿や組織の姿は、これから社会に出ようとする若い人たちが、仕事や企業について考える際にも参考になることと思います。

いくつか、共感した言葉を書きだしてみます。もちろん、前後の文脈も絡んでくるので本来の意図が伝わらないかもしれませんが、少しでも気になったらぜひ本書を手に取って読んでみて欲しいと思います。

※すばる望遠鏡プロジェクトで営業側を率いた国澤有通さんが、SE側を率いた瓦井健二さんを評して語った言葉。

「それから、瓦井さんが当時よく言っていたのは、チームのみんなが同じ強みを持っていても意味がないということ。それぞれ自分の強みがあって、お互いを補完し合うと、全体でどんな大きな仕事もできるチームになる。

第3章 妄想を構想に変える 77p

※「らくらくホン」シリーズの開発を率いた中条薫さんが育児休業後、どれもが中途半端になってしまうのでは、と復帰するかどうかを迷っていた時の言葉。

「100点でなくていい」と言ったのは、夫だった。
母、妻、社会人、その三つの役割で、たとえそれぞれが60点だったとしても、足したら100点満点を超えている。それでいいんじゃないか

第5章 人を幸せにするものをつくる 123p

※米国企業が圧倒的シェアを誇るブラジルで富士通製メインフレームや大手銀行のATMへの手のひら静脈認証採用などの成果を挙げた富士通ブラジル 西口一成社長の言葉。

モノを売る相手は、『企業』ではなくて、その企業で働く『人』です。最終的には人が全てを判断する。だから、企業間ビジネスなんてものは実態ではないんです

第8章 世界を変える志を持つ 167p

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