キム・ジュンヒョク「楽器たちの図書館」

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こんにちは。
@pooh_1960です。

なんか、久しぶりです。
しばらく更新しないあいだに、シャンソンを聴きに行ったり、吹奏楽のコンサートを2つ聴いて、なんだかんだとあっという間に時が過ぎていっています。

コンサートのレビューはまた後日おいおい書くとして、今日はとてもステキな本を紹介したいと思います。

楽器たちの図書館 악기들의 도서관 / キム・ジュンヒョク 著、波田野節子、吉原育子 訳

たまたま図書館の新刊書コーナーで見つけました。

まずは、タイトル「楽器たちの図書館」
音楽好きなら自然と目がいきます。

手に取ってみるとシンプルでセンスの良い装丁。
表紙のバイオリン?の絵のバランスもよい感じです。
それから、今、訳者 吉原育子さんのブログで知ったのですが、本の上の部分がふぞろいな、アンカット、という作りになっています。いい感じです。

「この短編集は僕からみなさんへ送る録音テープです」という言葉ではじまる「みなさんへ」と題する前書き。
見開きの右のページにはカセットテープのイラスト。

ぱらぱらとめくって拾い読みしてみると、心にすーっと響くような文章。

さらに、奥付をみると訳者の、波田野節子さんと吉原育子さん、お二人とも新潟県の出身。

と、いうことで借りてきました。
ロシアの作家の短編集も気になっていたのですが…

でも、これは、ビンゴ!素晴らしい作品です。
われながら自分の眼力にほれぼれします(うそうそ)。

久しぶり一気に読んじゃいました。

音楽、音、リズムにまつわる8編の作品が収められた短編集。
良い意味で韓国文学のイメージ、私が勝手に思い描いていた韓国文学のイメージを払拭してくれます。

訳もこなれていて、翻訳調というのが全くなく、日本の作家の作品を読んでいるようでした。
いつか体験したような味わいなのですが、いつのことなのか、誰の文章の風合いと似ているのか思いだせません。

どう、紹介してよいのかわからないので、いくつか心に響いたことば書き出してみます。

まったく関係なさそうに見える幾つかのことが一本の線でつながる瞬間、人生が変わる。その線を長く伸ばしたのが1人の人間の人生なのではないだろうか。(「楽器たちの図書館」132p〜133p)

僕がやっていたのは無謀なだけでなく、世界平和になんの益にもならず、金儲けにもならないし、極端に言えば、永久に結末を見ることができない目標だった。僕にとってそれは、戻れないことを承知で出発する宇宙探検のようなものであり、帰りの酸素ボンベを背負わずに飛びこむ潜水みたいなものだった。終えることが不可能だったがゆえに、ますます心が惹かれた。(「楽器たちの図書館」152p〜153p)

Mの笑い声が電話を通して耳に届いたのか、彼は気に入らなそうな声で言った。ずっと前から、彼はMのいたずらや冗談が嫌いだった。「なんでおまえがMとつるんでいるのか理解できないよ」とよく言われた。言われるたびに、彼のことが少しずつ嫌いになった。「理解」という単語を、こんなふうに使うことがいやだった。人と人との仲は「理解」できるものじゃない。(「ガラスの扉」193p)

誰かに認められるというのは、体のなかにあった石ころを一つ取りのぞくことと似ている。たとえ数グラムでも心の重さが減っていく。(「僕とB」241p)

読み終えて8篇のうちどれが一番か、と考えるのですが、どれもが味わいのある、それぞれ鳴り響く音がちがう小説で、すべてまとめて良さがわかるような、どれも慈しめる短編集です。

音楽好きな方はもちろん、みなさんにおすすめの一冊です。

作者、キム・ジュンヒョクさんは、1971年慶尚北道金泉生まれ。ウェブデザイナー、雑誌記者などを経て2000年に作家としてデビューとのこと。
その他の作品もぜひ読んでみたいと思います。

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